老舗のクラシックホテルから、昭和の観光ブームで建てられた観光ホテルや、ちょっと怪しげでディープなボロ宿まで、ちょっと変わったレトロホテルをご紹介します。
和洋折衷、クラシックホテル
明治になり、外国人専用のホテルが作られるようになりました。それらは「クラシックホテル」と呼ばれ、いまも日本各地に残っていて、その美しい建築美とホスピタリティで宿泊客をむかえてくれます。
奈良ホテル
明治期創業の老舗・奈良ホテル。和洋折衷のデザインが美しいです。さらに、奈良公園の隣に位置しているため運が良ければ庭で鹿に会えるそうです。
日光金谷ホテル
一方、こちらは明治期創業の日光金谷ホテルです。日光東照宮のデザインを意識した和洋折衷のつくりが随所に。このように、東照宮のデザインがいたるところに散りばめられ、もはや東照宮の宿坊といってもいいのではと思います。食事もパンも絶品。パンはお土産にもおすすめ。
昭和観光ブームのレトロホテル
老舗クラシックホテルの一方で、昭和に入ると庶民のための観光ホテルが次々に建設されました。
それには高度経済成長時代に起こった昭和の観光ブームと、ハイキングやスキーなど山の行楽も盛んになったことで、さまざまなホテルや観光施設ができたそうです。
また、東京オリンピックをきっかけに都市部では外国人の宿泊に対応したホテルもつくられるようになったのだとか。
そうした昭和のホテルが現代まで残り、レトロなホテルとしていい味わいを出しています。
黒部観光ホテル(山岳リゾート)
立山黒部アルペンルートは、黒部ダムが竣工された昭和30年代にひらかれた登山観光です。そして、登山の起点となる街にはリゾートホテルが作られました。
なかでも黒部観光ホテルは、三角屋根がいかにも山のホテルらしい、古き良き昭和のレジャー観光を彷彿とさせるデザインです。
昭和の山岳リゾートデザインはとにかく「強くて大きい」印象。「黒部観光ホテル」のロゴは昭和の映画タイトルのようですし、暖を取るストーブも巨大。秋口に行った時でも結構寒かったので、冬場などはこれくらいのストーブがないと広い会場が温まらないのかもしれません。
『昭和三十年代モダン観光旅行』では、旅行ブームに沸いた昭和30年代の観光地の様子を、絵はがきやチラシで紹介しています。当時も山登りやキャンプが盛んで、珍しい樽型のコテージなどもありました。
サンハトヤ(温泉ホテル)
そのレトロな外観とインテリアで、若者の間で人気の伊東のハトヤホテル。こちらは海沿いにある系列のサンハトヤ。インテリアもゴージャスで、昭和レトロな雰囲気が味わえます。
夕食は大広間で、マジックショーではハトが飛ぶ昭和の豪華な演出も見どころの一つ。そのほか、ディナーショーを開催し、演歌歌手やモノマネ芸人さんが芸を披露しています。(コロナ禍前の情報です。)
ホテルニューアカオ
こちらは熱海のホテルニューアカオ。サンハトヤと同じく赤いロゴと奇抜な建築デザインが魅力のホテルです。
インテリアもシャンデリアや大きな宴会場などがあって豪華でレトロ。
ホテル三笠温泉(温泉ホテル)
こちらも、昭和の観光ホテルの面影を残したホテルです。残念ながらリニューアルされてかつての面影はありませんが、私が宿泊した時は、栓抜きやコップ入れなどが昭和のレトロホテルの備品や昔ながらのお土産売り場など、懐かしい雰囲気を残したホテルでした。
ホテルオークラ
ホテルオークラ東京は1962年創業の老舗ホテル。残念ながら建て替えられてしまい、レトロな雰囲気のホテル外観が見られなくなり残念。
かつての緑の中に現れる老舗ホテルは、都会の隠れ家のような雰囲気でした。
さらに、ホテルオークラは美術品の収集・展示にも力をいれているため、宿泊以外にも美術鑑賞として利用することができます。
愛すべき、ディープなボロ宿
一部のマニアの間で「ボロ宿」というわざと汚くて古い宿がブームとなっています。しかし、こうしたディープなホテルは、小心者の私は泊まる勇気がありませんでした。
そのため、外観の写真を撮るくらいしかできません。
ホテルオリエンタル
かつて、横浜中華街に存在したホテルオリエンタル。レトロホテルの外観がノスタルジックな雰囲気をかもしていました。気になったので、このホテルの歴史を調べてみたところ、はじめは船員さん向けの宿だったそうです。
しかし、現在は廃業、解体されてしまい残念です。勇気を出して泊まっておくんだった…。
ウォン・カーウァイ映画に出てきそうな雰囲気のあるレトロホテルでした。
こちらの記事にオリエンタルホテルの詳しい情報が載っています。