先日、久しぶりに青梅へ散策にでかけました。青梅はかつて映画看板絵師・板観さんの描く映画看板のがっ通りを飾り、昭和の街として人気でした。
しかし、板観さんが亡くなった後、落下の危険性もあるため撤去されてしまったのです。
かつて、昭和レトロの町を彩った映画看板がなくなってしまい、もうあの昭和レトロの町の雰囲気が味わえないのか…とがっかりしながら青梅の町を散策しました。
けれど、意外にも青梅の散策はとても楽しかったのです。街には個性的な建物や商店がたくさん残っていて、レトロ散策のネタには事欠きませんでした。
映画看板の街から猫の街へ
私はこの時映画看板が撤去されたことなどまったく知らず、コロナ禍で行けなかった念願の青梅散策にワクワクしていたのですが、街から映画看板が撤去されていることに驚きました。昔は、街のメインストリートに映画看板がたくさん飾られていたのに…。

看板撤去については、後日ニュース記事で知りました。ただ一か所、駅構内の看板だけは健在でした。
そのかわり、青梅の町は映画看板の代わりに猫をモチーフにした映画のイラストの看板が溢れていました。
もともと、青梅は「にゃにゃまがり」という猫をモチーフにした路地(地面の肉球に沿って歩く)などが有名でしたので、これから街の名物は映画から猫へ移行していくのでしょう。

青梅の昭和レトロ店舗
しかし、青梅街を歩くとレトロ好きにはたまらない店舗がたくさん残っていました。さらに、個人商店のデザインが個性的で、昭和にタイムスリップしたかのような雰囲気が味わえました。
青梅には昭和初期らしい古い洋館から昭和40~50年代のポップなデザインまで、レトロのタイプも多種多様で、街を歩いているだけでレトロ好きには楽しめました。
個性豊かな個人商店デザイン
ホテイヤ傘店
看板のデザインがおしゃれ。タイポもアクセントがあってエレガントです。

多摩ミシン商会
ブルーの店舗用テントが美しい洋服店舗。2階の面格子のデザインもかわいらしい。さらに、よく観ると窓のない部分まで面格子が渡っているのもユニークです。
「多摩ミシン商会」の「摩」が簡略字なのもいい。モダンでおしゃれ。

カワスギ陶器店・物店・紺春
カワスギ陶器店の陶器のディスプレイがすてきです。急須をこんな風に掛けると、ちょっとアートのようでもあります。


ヘアーサロンよしざわ
洋館風の建物を改造して、昭和後半に流行した丸窓と、丸みのある「よしざわ」のタイポ、いろいろな時代を経てきた街の理髪店。
なぜか、店頭にはギリシャっぽい彫刻が飾られています…。


フルーツヒロセ
駅前にあるフルーツヒロセはタイポもおしゃれですが、さらに注目ポイントは店内は昭和のディスプレイが残っているところ。
しかも、丸形で明るい色の照明がかわいいですし、ディスプレイも昔のホームドラマに出てきそう。


青梅のレトロ洋館
スミレ写真館
おそらく、戦前に建てられたと思われる洋館が写真館として使われていたようです。
1階のショーケースにはタイルが貼られていてレトロですてき。とりわけ、2階の窓枠のデザインが凝っています。


ヤバいビル
ヤバいビルとは、高度経済成長時代に建設された、個性的なデザインのビルのこと。昭和40~50年ごろはより目立つようデザインされたり、またはビル名を建物につけるたり、今とは違った味のあるスタイルなのです。
こうした昭和のビルは保存されることが少なく、さらに時期が来ると取り壊されてしまうため、あまり出会えません。
ところが、青梅の駅前は、昭和に建てられたデザイン性豊かな「ヤバいビル」の宝庫なのです。




短い時間でしたが、昭和レトロの雰囲気を楽しんだ青梅散歩でした。青梅には他にも「昭和レトロ博物館」など、レトロスポットもたくさん。ちょっとした散策にちょうどいい街です。