高度経済成長時代のビルは『ヤバいビル』

読書感想文

『ヤバいビル』とは高度経済成長時代に建設された、個性的なデザインのビルを、作者が名付けました。

こうしたヤバいビルは装飾過多で、個性豊かにデザインされています。

人を呼ぶために派手で明るく、目立つようにデザインされたビルは、遊び心と個性に溢れていて、とてもかっこいいのです。

中矢組ビル側面
ヤバいビル

この本では、高度経済成長時代のヤバいビルを「船型」「丸窓」など装飾別に紹介しています。ほかにも、有名建築家の作品との比較(どこをパクリ…じゃなかった、リスペクトしたか)も掲載。

そのほかにも、中銀カプセルビルなど、有名建築家の「ヤバい」作品も紹介しています。

また、ビルやマンションの個性的な書体だけを集めたコーナーも。これは、レトロビル好き、タイポ好きにはたまらない特集です。

自分でもヤバいビルを探してみました

看板建築とけしごむ建築

「看板建築」とは、関東大震災後、建て替え時に正面を装飾でした店舗建住宅のこと。

こうした看板建築に対し、作者は低層のビルやマンションに「けしごむ建築」と名付けました。

こうした、新しい時代のビルには、時代に見合った新しい呼び名がつけられるんですね。

街中のヤバいビルをみつけてみよう

『ヤバいビル』を読んでから、自分でも古いビルを見つけてみたくなりました。探してみると街には意外と、個性的なデザインのビルがちらほらと存在しているのです。

私が見つけた「ヤバいビル」の中では、最も印象深いのが大阪・通天閣近くの大隅アパートです。多角形のベランダ、茶色のアクセントが入った壁、赤く塗られた屋上の手すり。

おそらく、関東ではあまりみかけない斬新さです。

大阪の建物は関東のデザインとひと味違って、興味深いものが多いですね。

大隅アパート
大隅アパート(大阪)

作者の三浦展さんは、ベストセラー『下流社会』など、都市や社会と人間の関係に関する本を書かれています。

他の本も興味深くて、ぜひ読んでみたくなりました。