『上海航路の時代―大正・昭和初期の長崎と上海』

読書感想文

『上海航路の時代―大正・昭和初期の長崎と上海』は、戦前の優雅な船旅を当時の資料で紹介しているレトロな船旅の本です。

「下駄履きでいける外国」だった上海

昭和初期、飛行機もあるにはありましたが、まだ一般的ではなかったため、海外旅行といえば船の旅でした。そんな中で上海は、船で行ける一番身近な外国として人気があったようです。

芥川龍之介や詩人の金子光晴も上海に長期滞在して、名紀行文を残しています。

戦前の優雅な上海航路

長崎ー上海間を渡った日華連絡船の長崎丸・上海丸には食堂・喫煙室・カフェー・社交室などあらゆる設備が充実し、人々はゆったりと船の旅を楽しむことができました。

昭和3年の上海航路のフルコースでは、伊勢海老・ヒレ牛肉のステーキ、七面鳥など、豪華メニューが並んでいます。

また、上海から長崎への外国人観光客のために用意された雲仙の英語パンフレットや、今も残る長崎の老舗店の広告、上海の着色絵はがき、姑娘(くーにゃん)が微笑む総天然色の老上海広告…。

レトロデザイン好きの欲しいものが、この1冊に凝縮されています。