奈良ホテル宿泊記

小さな旅

奈良ホテルは明治45年創業、日本国内屈指の歴史を誇るクラシックホテルです。以前、運良く泊まることができ、その時の感想をまとめました。

※宿泊した2009年当時の内容です。

奈良ホテルの宿泊

運良く本館の方に宿泊できました。本館は1909年に建築されたので、和洋折衷の美しい外観と、レトロな室内が特徴です。

紅葉の季節だったため、最初は予約も満室でとれず、後日キャンセルが出てようやく泊まれましたので、ハイシーズンに奈良ホテルへ泊まりたい方は、早めに予約を入れておいたほうがいいでしょう。

本館室内
本館の室内

私が泊まったのは本館の洋室。多少の狭さは感じましたが、天井も照明もにレトロなデザインを保ちながら、設備は快適で申し分ありません。

ベッドに枕が二つあったので、寝転がってテレビを見たり、本を読んだりするのに便利。布団はふわふわの羽根布団。

普通のホテルはベッドメイキングでギチギチに布団をり入れ込んでいて使いづらいのですが、この布団はやわらかくて快適でした。

バスルームはちょっと小さめ。でもさすが老舗ホテル。掃除が行き届いていて快適でした。
秋冬にホテルに泊まって困るのが部屋の乾燥なのですが、奈良ホテルは木材をふんだんに使っているせいか、普通のホテルより乾燥しませんでした。

館内のインテリア

奈良ホテルのフロントにあったポスト。和洋折衷建築のクラシックホテルらしく、屋根つきの神社仏閣風。

外国人宿泊者向けなのかもしれません。こんなポストから手紙を出してみたいです。

レトロな金庫と時計

フロントの柱時計と金庫

まず正面玄関を入ると、フロントに大きな時計と金庫。年代を感じます。どちらもまだまだ現役で使われているようです。

よく見ると、フロントの照明も寺社風です。

ホテル内の絵画

絵画(上村松園)
上村松園「花嫁」

奈良ホテル正面入口の上村松園画伯の絵が飾られていました。本来なら美術館に飾られてしかるべきですが、こちらにあることで気軽に眺めることができます。

松園画伯は、戦争中奈良に疎開してから、その風景を気に入って晩年を奈良で過ごしたのだとか。その他にも絵画や書架などがホテル内に飾られています。部屋には館内美術マップもあり、宿泊だけでなく、美術鑑賞も楽しめます。

奈良ホテル庭
運が良ければ鹿に会える庭

ダイニングルームからは奈良公園内の池や庭を眺められます。時々、庭の中に奈良公園の鹿が現れることもあるそうです。運が良ければ、鹿にあえるかも。

 奈良で見つけた、鹿にまつわるモノ

奈良ホテルの歴史

館内は有名画家の絵画や彫刻が並び、ホテルそのものが美術館のようでした。

1909年創業の奈良ホテル。私が宿泊したときはちょうど創業100周年の年でした。館内ではホテルの歴史資料を展示していました。昔のパンフレットやステッカー、ホテルタグなど、レトロ紙モノファンには垂涎の品ばかり。このまま本にしてくれれば絶対買います。

その他、奈良ホテルに泊まられた皇室の方々の写真やラストエンペラーである旧満州国皇帝・愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)が使用した食器なども展示されていました。

他にもヘレン・ケラーなどの歴史的有名人も多数宿泊しています。

奈良ホテル歴代デザイン
歴代ステッカー(創業100周年記念)

昭和10年頃の奈良ホテルパンフレット(英語)やその他、外国人向けの時刻表などもありました。鹿をあしらった荷物タグやステッカーのデザインがレトロですてきです。

奈良ホテルの食事

奈良ホテル和朝食
朝食の茶がゆ

奈良ホテル朝食では定番メニュー・茶がゆをいただきました。その他、味噌汁、魚、煮物など。洋食は結構本格的なイングリッシュブレックファーストが楽しめます。

トーストしたパンを立てておく食器がおしゃれでしたし、トーストもイギリス式で薄くてカリカリでおいしそうでした。

まとめ

  • 宿泊と美術・建築鑑賞が楽しめる
  • ハイシーズンに奈良ホテルへ泊まりたい方は、早めに予約を
  • 運が良ければ、庭から鹿が見れるかも

ノスタルジック・ホテル

ノスタルジック・ホテル物語』という本の中には、日本のホテルの成りたちや歴史を当時の絵葉書やパンフレットで紹介されています。

奈良ホテルや日光金谷ホテルのほか、当時の植民地だった上海や満州の日本人向けホテルの紹介も。むかしはあの平壌にも日本人経営のホテルがあったそうです。