はみだす緑とはどんな緑なのか。
家をおおうツタ、伸び放題の観葉植物。そんな、街中で無秩序に成長する緑たちを村田あやこさんは「はみだす緑」と命名して、それらを楽しむために「路上園芸学会」を設立しました。
そんな村田さんの本『はみだす緑』では、はみださんばかりに成長した植物と、植物に愛情をそそぐ個性豊かな街の園芸家たちを、キュートなイラストで紹介しています。
個性豊かな街の園芸家たち
主人公の園芸好き中年男性、たむらさんが近所の路上園芸家を紹介していきます。
彼らの住む家や育てる植物は、家主の個性が反映されていて、その設定がとてもおもしろいのです。
- 2階部分がツタに覆われ、植木が発泡スチロール箱からはみだす「しげる邸」
- カワイイもの好きのあきらさんが、鉢植えの間にファンシーな人形を飾る「バーバーぷりてぃ」
- はなこママが焼酎の空き瓶でどぼどぼと植木に水をやる「スナックはなこ」
- 店主のみどりさんが屋上に秘密の花園をもっている歌声喫茶「旅路」
もしかしたら彼らはどこかの街に(下町のイメージがある)存在していて、今日も植物を勝手気ままに育て、植物たちもまた、植木鉢からはみだすほどに自由に育っているのでは…と思わせてくれます。
そんな妄想がふくらむ本です。たむらさんやしげるさん、強面だけどかわいいもの好きなあきらさん、謎の経歴をもつみどりさんや、はなこママに会ってみたいものです。
※ブログに掲載した写真は、私が撮影したもので本とは関係ありません。

はみだす緑(路上園芸)観察図鑑
主人公・たむらさんが街で見つけた「はみだす緑」たち。『はみだす緑 黄昏の路上園芸』では、それらを分類し名前をつけています。それはさながら図鑑のよう。
この本を持ちながら、街のはみだす緑を探しに行きたくなります。
透かし庭百景
いわゆる「透かしブロック」からはみ出した緑たち。透かしブロックと緑は相性がよくて、さまざまなタイプのはみだす緑が見られます。


家主が植物
最初は小さな植木がどんどんと成長し、ついには植物で家がおおわれてしまう状態。人の手が加わらない廃業店舗や古い住宅によくみられます。表面積的にみても、植物が家主と言っても過言ではないでしょう。


この本を読んで以来、すっかり「はみだす緑」にハマった私は、おもしろくはみ出した緑をみると、ついつい写真におさめてしまうのです。
#はみだせ緑
SNS上でも、こうした一風変わった緑の写真が投稿されています。ハッシュダグは「はみだす緑」ではなく「はみだせ緑」なのが謎ですが、このハッシュダグで検索すると、個性豊かな街の緑に出会えます。