レトロモダン医院
レトロモダン医院とは、私が見かけた街の診療所・病院のレトロ建築を私が勝手に命名したものです。
今でも開業医=お金持ちのイメージがありますが、昔のお医者さんはもっとセレブでした。
中でも大正~昭和の医院建築は、最先端の建築資材を使ったモダンなデザインの建築が多く、なんとも豪華でレトロな雰囲気です。
昔の病院建築は、瓦ぶきの木造洋館やコンクリート建築など、様式もさまざま。ただ、共通しているのは、これだけのお屋敷を建てられるだけの財力を当時のお医者さんは持っていたということですね。
ガラスブロックとタイルの昭和後期
まるで、昭和の映画にでてきそうな昭和の医院建築の数々を写真におさめました。今では高価な石材をふんだんに使った外装や、装飾のガラスやブロックは、高度経済成長時の日本の豊かさを感じます。
山口内科(埼玉県川越市)


おそらく昭和40~50年代に建てられた医院。この時代の特徴的なガラスブロックと、壁面を覆うタイルが特徴的です。フォントも堂々としています。
井上医院(秩父市)
こちらはもう少し時代が下がって、昭和30年代から40年代はじめといったところでしょうか。直線的な構成がモダンでシャープな印象の医院建築です。
昭和に流行した、装飾をほどこした窓ガラス。こちらの型板ガラスは装飾が細かくて美しいです。
おそらく窓はスチールサッシ。スチールはアルミよりも格段に重いので、開閉が大変なんですよね…。ブロックと装飾ガラスのデザインも、昭和のビルなどでよくみかけました。
外灯も昭和っぽくていいですね。


昭和30~40年代の建築デザインは独特でユニークです。『昭和モダン建築巡礼』という本をよむと、当時の建築デザインの傾向がわかります。
とにかく、この当時の建築物は、大きく、目立つように作られていきました。
青山外科(東京都武蔵野市)
石をふんだんに使った外装に、レトロなフォントの医院名、吉祥寺に存在したモダンな医院跡。しかし、わたしが訪れたときは、もう廃墟となっていました。
ほかにも、ドアの横に受付窓がありそちらのつくりもレトロでかっこよかったのを覚えています。
外壁は大谷石でしょうか、現在、同じ建築資材に使ったらとても高価なのでしょうね。
そして、医院のタイポグラフィは長体(タテ長)でおしゃれです。ほかにも、「青」の文字が旧漢字ですので、昭和20年代か、それよりも古いかもしれません。


佐々木醫院(埼玉県川越市)
こちらは昭和初期に建てられた佐々木醫院。表札が旧仮名遣いの「醫」になっていますね。レンガと黄色に塗られたモルタル(たぶん)がおしゃれでモダンな建築です。


モダンな木造建築医院
大正から昭和にかけては、モダンでおしゃれな木造建築の医院が建てられます。ヨーロッパの邸宅を思わせるようなおしゃれな外観に、ああ、きっとこの頃のお医者さんはお金持ちだったんだろうな…。と想像してしまします。
比留間歯科医院(東京都台東区)
上野駅の近くでみかけた医院。昭和初期の建物だそう。戦前らしく、文字が右から左に描かれています。医院の「醫」が旧漢字。窓もおしゃれ。一番上の窓は屋根裏でしょか?ミステリーの舞台になりそうな洋館です。

庄司歯科(東京都杉並区)
こちらの庄司歯科は大正14年築。木の窓枠や入り口のすりガラス、窓枠のデザインがモダンです。
惜しくも2012年に解体されてしまったそうです。

中成堂歯科(埼玉県川越市)
川越市にある中成堂歯科は、大正2年に建てられたもの。そのため伝統的建造物に指定されています。
こちらの建物は、定期的に改修されているので時々外壁の色が変わります。こうした歴史的建造物が街中に多く見られるのが川越の特徴です。


片山醫院(埼玉県秩父市)
秩父市にある片山医院は建てられたのは明治43年。「醫」が旧漢字なところに歴史を感じます。それにしても木造でここまで大きく、保存状態がいい建築は珍しいですね。
さらによく見ると、ガラスも当時のままのようで、補強のために戦時中のようなテープが貼られています。


『さいたま建物トラベル』には、秩父の片山医院など、レトロな名建築がたくさん紹介されています。
まとめ
- コンクリートや石、木造など、医院の建築デザインは時代によりさまざま
- 共通しているのは、とにかく豪華で敷地が広い


