レトロ看板の中でもよく見かけるのが、たばこと塩の看板です。
たばこと塩、これらはかつて専売公社が専門に扱っていた商品でした。そのため、販売できる店が限られていたので、たばこと塩を取扱うことのできる店は看板を掲げていました。
今でも街を歩けば時々、たばこと塩のホーロー看板に出会うことができます。
たばこ店のデザイン
かつてのたばこ屋では、かつては商店の一角に商品を並べたコーナーがあり、そこで看板娘かおばあちゃんが店番をしていたものです。
喫煙率が高かった昔は、街のあちこちにたばこ店がありました。商店のスペースでたばこを売る店や、たばこだけを売る専門店もありました。ちなみに、たばこスタンドの文字には「Tobacco」や「Cigarettes」と表示されていますが、「Cigarettes」の方が時代が古いそうです。
川越のたばこ店
川越にあったたばこスタンド。お店の土間部分に設置されていました。レトロで時代を感じさせてくれます。
昭和時代、おばあちゃんがたばこの包み紙を利用して、折り紙の傘を作っていましたが、この写真のケースにもありました。昭和あるあるですね。
江戸東京たてもの園のたばこ店
江戸東京たてもの園の乾物店ではたばこスタンドが設置され。たばこと灰皿のイラストが描かれています。白黒模様のタイルとガラスケースがレトロでおしゃれ。
レトロたばこ店
秩父の小池たばこ店では、昭和初期に建てられたレトロなたばこ店です。店の角に販売スペースらしき窓が残っています。
長く空き店舗となっていましたが、2022年7月にホテルとしてリニューアルオープンするそうです。
たばこのレトロ看板
こんなふうに、昔は街のあちこちにあったたばこ屋ですが、今では喫煙者の数も減り、たばこ屋自体も珍しいものになりつつあります。
けれども、今でも街を歩けば、わずかながら「たばこ屋」やその看板に出会うことができます。
阿佐ヶ谷のたばこ看板
看板建築風の建物の脇に、堂々としたたばこの看板。お店としては営業していないようですが、自動販売機と喫煙スペースになっていました。側面にりっぱな看板がつけられているのは、大通りから見えやすい位置だからでしょう。
おそらく、街の看板屋が書いたであろう、手書きの文字がいい味を出しています。
石見銀山のたばこ看板
世界遺産・石見銀山の街で見つけたたばこの看板。こちらもおそらく手書き。遠くからみえるように、二階の壁につけられています。
丸型たばこ看板
こちらは珍しい、丸型のたばこ看板。こちらは青梅で見つけました。青梅にはほかにも、レトロな店舗が残っているので、散策が楽しい街です。
たばこのホーロー看板(東京新聞)
こちらは、たばこのホーロー看板。古いたばこ店でよく見かけます。下には別の広告が入ることが多く、こちらは東京新聞の広告が。(場所は埼玉ですが…)
塩のレトロ看板
「塩」取り扱いの看板は、地方ではたばこと同じ店で扱うことも多いようです。この看板ではたばこと塩のが両方を取り扱っていたようです。
また、下部分には「フコク生命」と「サンキストレモンドリンク」の広告が。サンキストレモンは昭和に流行したレモンドリンクなので、この看板は昭和時代のものでしょう。
こちらも塩のホーロー看板。下の広告で年代がある程度推測できます。おそらく「オリコ」が記されているので、こちらは割りと新しめなのでしょう。
こちらは「塩」単独のホーロー看板。他の塩看板が明朝体っぽいのに、こちらはゴシック体。なぜ、書体によって違いがあるのか、これから調べてみたいところ。
江戸東京たてもの園では、旧漢字の塩看板が展示されています。塩の専売形態というのは戦前からあったんですね。
江戸東京たてもの園の中には「塩」や「たばこ」を売る店がそろっていて、本当に昭和の街のようです。
看板を探すと商売の歴史が見えてくる
たばこも塩も、今ではコンビニで気軽に買えるようになりました。しかし、一昔前はそれぞれの専門店で買うのが当たり前でした。
しかし、以前はお米もお米屋さんで買うものでした。なぜかお米屋でしか売っていない「プラッシー」という飲み物もありましたっけ。
こうして、レトロな看板を探してみると、改めて商店街や商売の歴史を垣間見ることができて興味深かったです。